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東京家庭裁判所 昭和63年(家)10886号 更正審判

主文

本件につき、当裁判所が平成元年2月21日なした審判の主文第2項を以下のとおり更正する。

相手方三木久美子は、

(1)  申立人吉田明子に対し金5833万3333円、申立人吉田博子に対し金1億0208万3333円、

(2)  相手方少林典子及び相手方勝田公子に対し各金3402万7777円あて

並びに上記各金員に対する本件審判確定の日より各支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。

理由

1  (1) 本件につき、当裁判所が平成元年2月21日なした審判(以下「本件審判」という)の主文第2項の各調整金の額は、本件審判書別紙遺産目録記載の各物件の評価額2億6250万円(但し、相手方久美子の居住利益を控除したもの)に、被相続人亡吉田紀三郎の相続に関する各当事者の法定相続分(申立人明子(以下「申立人明子」という)36分の12、申立人博子(以下「申立人博子」という)36分の6、申立人峰子及び申立人忠夫各36分の3、相手方ら3名各36分の4)を乗じて算出したものである。

(2) ところで、本件記録中の申立人明子審問の結果及び同申立人提出の平成元年3月16日付上申書によれば、同申立人は、母ヨネから同申立人の肩書住所地にある土地の贈与を受けているので、本件遺産分割に当たり、同申立人の法定相続分36分の12のうち、母ヨネの相続を通じて取得した36分の4について、これを他の相続人全員の利益のために譲渡(ないし事実上の相続放棄)する方向で考慮してもらつて差支えない旨の意向を有していることが認められる。しかして、かかる意向を汲んだ場合、申立人明子が母ヨネの相続を通じて取得した法定相続分36分の4は、亡豊側の相続人と亡忠明側の相続人とに36分の2あて取得させるのが公平であると思料される。してみると、申立人博子については72分の2、申立人峰子及び申立人忠夫については各72分の1あて、相手方ら全員については各54分の1あてを、それぞれ従前の各法定相続分に加えるべきこととなる。

以上にしたがえば、本件遺産分割において採用されるべき各当事者の具体的相続分は、申立人明子216分の48、申立人博子216分の42、申立人峰子及び申立人忠夫各216分の21あて、相手方ら全員各216分の28あてとなる。

(3) 前記評価額及び上記具体的相続分にしたがい相手方久美子が負担すべき調整金の額を算定すると、以下のとおりとなる(計算上円未満はすべて切捨て)。

ア  各相続人が取得すべき価額(本件審判理由中4(3)イ(ウ)aの部分)

申立人明子

2億6250万円×(48/216) = 5833万3333円

申立人博子(但し、本件審判理由中4(3)イ(ウ)bにあると同様の理由により、申立人峰子及び申立人忠夫の各具体的相続分各216分の21あてを加えて計算したもの)

2億6250万円×(84/216) = 1億0208万3333円

相手方ら3名

各2億6250万円×(28/216) = 3402万7777円

イ  上記計算結果によれば、本件審判理由中の4(3)イ(エ)の部分を、「如上の計算結果によれば、相手方久美子は、申立人明子に対し5833万3333円、申立人博子に対し1億0208万3333円、相手方典子及び相手方公子に対し各3402万7777円あての各支払義務を負担すべきこととなる。」旨訂正しなければならない。

2  よつて、相手方典子及び相手方公子の抗告中、申立人明子の取得する調整金の額が多過ぎる旨指摘する部分を理由ありとし、家事審判法7条、非訟事件手続法25条、民事訴訟法417条により、再度の考案に基づき主文のとおり更正審判をする。

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